MENU
何処か引っかかる。何か曲がってる?と言った違和感はありませんか。
量産化低価格化は職人が長年培って会得した技を引き継がず成長しています。
本来気を付けるべき様々なポイントを解説していきます。
順次追記していきます。
良い石留め、悪い石留め
○爪・爪先の浮き
石がガタついたりする原因となります。

・爪先がピッタリ宝石にくっ付いていると、長年使用してもガタつきも来ません。
・浮いていると様々な物を引っ掛けます。ストッキングの伝線もこれが原因の事が殆どです。
自分の物ならまだしも、他人の物を引っ掛けてしまったら最悪、高額保証などのトラブルの原因にもなります。見て判断し難い場合は紙など薄い物を差し込んでみましょう。
・一見留まっているように見えますが、実は直ぐに爪先が浮き隙間が出来引っかかるようになり、ガタつきも出ます。

使用していると石が様々なところでぶつかります。すると石を押し下げる力が働き石を回転させようとします。爪先が弱いためその力に抵抗できず浮き上がります。そして位置が元の位置に戻ると隙間が生まれます。その繰り返しでどんどん隙間が大きくなって引っ掛けたりするようになります。
これは技量不足で石が割れるのではないかと怖がっている職人が一番犯しやすいミスです。
なので彫金教室の生徒さんにもこの傾向が現れやすいです。
この石留めを新しい石留めとして自店の作品に取り入れましたとSNSで公表して、自店ブランドとして発表しているのを見たことがありましたが、私からすれば知識も技量も無い事を宣伝しているのと同じにみえますので。
○爪・爪の向き
見た目が悪く、石の向きが正確なのかどうかも分かりません。

爪の向きが悪いのは素人目には何が理由化は分からないけど、しっくりこない、落ち着かないといった印象として現れやすいものです。
いくら前述の爪の浮きで問題が無い留めでも、折角の美しさが損なわれます。爪の浮きはルーペを使用しないと判り難いものですが、こちらはルーペ無しでも判断出来ます。
○センターストーン・回っている

このように回っていると歪んでいるように見えます。
原因としましては大きく分けると枠の歪み。もう一つは石留時のミスです。
枠の歪みは近年では手作りの原型制作からCADによる原型製作が多くなり、正確性が高くなったことで枠の歪みは殆ど無くなってきていますが、鋳造段階で歪みが出る場合がありますので、枠の歪みがゼロになる訳ではありません。
石留時の問題は一点制作とは違い量産品では枠の寸法と石の寸法が正確に合っている訳では無い事から、石留時にその修正をしなくてはならなくなります。その段階で修正できず石留め作業中に石が回ってしまう事もあります。
こういう点は機械作りのパーツばかりで構成される機械と、いくら正確に枠が出来ても、出来るだけ大きく石目を残そうと一点一点形状が違う宝石を使うためにジュエリーの違いです。
○センターストーン・傾いている

このテーブル面の傾きに関しては職人の腕前が全てです。
逆に腕前の良い職人さんは枠に問題がある場合、それを様々なテクニックで修正する事により見栄えを良くする事も出来ます。
○センターストーン・ダイヤモンド婚約リングのセッティング

ダイヤモンドは他のカラーストーンとは違い特徴的な向きがあります。
婚約リングの場合スタンダードな爪の数が6本のため、カラーストーンの様な枠の4本とは位置関係が違います。殆どの場合Aのような向きで留めますが、稀にBの向きで留める事もあります。
ただ、帆の宝石に比べてズレがハッキリと美しさに関わってきます。正確な向きで傾きも水平。等間隔。全てにおいて正確性が問われるのがこの指輪です。8本爪になるとさらに難しくなります。
価格優先で作られたものはこういう細かな所がおろそかになっています。